アギーレ監督の笑顔と、新戦力・武藤選手の素顔 (2ページ目)

 戦術的には「守備をしっかりやって、ショートカウンターからゴールを狙うサッカー」と会見で話していたように、足の速い選手、スタミナがある選手が必要とされるのではないかなと思います。また、私がもっとも印象に残っているアギーレ監督の会見での言葉は、「ワールドカップを見て、日本のチームに何が足りないと思ったか」という質問に、「南米のチームに比べて狡猾さが足りない」と答えていたことです。ブラジルW杯でドイツ代表のミュラー選手が、FKの場面でわざと転んで相手を惑わそうとしていたように、「対戦相手との駆け引き」という面でも、日本がさらにレベルアップしていってほしいです。

 昨シーズンまでスペインリーグ1部のエスパニョールを率いていたアギーレ監督について、スペイン人記者の方によると、「現地ではその指導力は評価が高く、バスク人のルーツを持つため"エル・バスコ"という愛称で呼ばれてファンに愛されていた」そうです。指揮官としては、チーム内に「お気に入り」の選手を作らず、「ダメだと思った選手はためらいなくレギュラーから外し、すぐに他の選手を試す監督だった」といいます。そうしたスタイルは、選手にとってはとても刺激になるだろうなと思いましたし、それはこれからの日本代表チームでも同じなのだろうと思います。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita また、「メンバーを固定しない」と、色々な選手を試すことを表明していたとおり、アギーレ監督が今回招集した23人のメンバーには、ブラジルワールドカップメンバーが12人入ったものの、初招集の選手が5人もいました(FW皆川佑介、武藤嘉紀、MF森岡亮太、DF坂井達弥、松原健)。その初招集メンバーのうち、私が先日取材したのが、現役慶應大学生でFC東京所属の武藤選手です。

 武藤選手は、宮市亮選手や宇佐美貴史選手、柴崎岳選手らと同い年で「プラチナ世代」といわれる22歳。ただ、FC東京のユース時代に高円宮杯準優勝などを経験していますが、世代別代表に呼ばれたことはなく、いきなりのA代表デビューになりました。

 チームでは、「よっち」という愛称で呼ばれている武藤選手。以前、『やべっちF.C.』の人気コーナー、「ひとりデジっち」にも登場をしていただいたのですが、そのときは自宅での体幹トレーニングの様子や、提出する論文の紹介をしてくれるなど、プライベートでの素顔も見せてくれました。

 高3の時、FC東京のトップチームのキャンプに呼ばれるチャンスもあったそうですが、「自分はまだプロでやっていく自信はない」と、一般受験で慶應大学に入ったそうです。大学の「ソッカー部」(※慶應大のサッカー部)では、1年時からスタメンで活躍。学業では、3年間でほとんどの単位を取ってしまったそうです。そして4年生となった今年、FC東京のトップチームに入り、見事レギュラーの座を獲得しました。

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