集大成のシーズン。「大人のスケーター」へ進化した浅田真央選手 (2ページ目)

「ノクターン」は、子どもの頃ピアノを習っていた私にとって親しみのある曲ということもあって、浅田選手のSPはとても楽しみなプログラムでした。全日本選手権で優勝し、世界選手権で2位になった06-07シーズンも、浅田選手はこの曲をSPに使っていましたが、当時は3Aも入れず、浅田選手自身も言うように「あのときとはテーマも内容もまったく違う」プログラムに仕上がっているのです。

 以前は自然な滑りでジャンプも軽々と跳んでいた感じでしたが、現在は体つきも大人になり、身のこなしもなめらかで、滑りの技術も細かい部分で変わってきています。さらに、表現力が豊かになっていることで、ひと味もふた味も違う「ノクターン」になっています。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita フリープログラムについては、浅田選手本人はまだまだ納得していないようで「これからブラッシュアップして、3Aも2回入れたい」と意欲的。佐藤信夫コーチによれば、フリーについて「これほどまでに難しくなっているプログラムは今までなかった」という難易度の高い構成ですが、それをさらにレベルアップしようという高い意識を持っているのは、浅田選手がソチで金メダルを狙うプログラムにしたいと考えていることの表れだと思います。

 2010年のバンクーバー五輪で、浅田選手が銀メダルを獲得しながら涙を流していたことがとても印象に残っています。その涙の理由は、「フリーでは3Aをふたつとも決めながら、後半のジャンプで2回ミスをしたのがものすごく悔しかったから」というもの。

「その思いも残っているので、バンクーバーと同じラフマニノフの曲であの時できなかったことをやり遂げたい」そう思って臨む、2回目の五輪シーズン。浅田選手のさらなる飛躍に注目です。

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