男子バレーボール日本代表の新指揮官、サトウ監督のマネジメント術 (2ページ目)

 例えば、練習が終わった後「過去の試合で見たいプレイがあれば、全部用意するからなんでも言ってくれ」と、選手の意見や要望をコーチ陣が積極的に聞いていました。海外の強豪チームではそういったやり方が主流なのだといいます。そういった成功している海外の代表チームのやり方を取り入れてチームを生まれ変わらせようとしている姿勢に、とても感銘を受けました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita 練習方法でこれまでとの違いのひとつは、選手が対戦相手のセッターの位置を見るようになったこと。以前は試合中、選手全員がボールの行方だけを見ていたそうです。しかし、相手のセッターの動きを意識することで、「次にここにトスが飛んで来る」ということが予測できるため、先回りしてブロックするなど、俯瞰的な視点を持ってプレイするようになったといいます。

 ほかにも変化はあり、以前は午前と午後の両方で練習をしていたのが、今は午前中だけ。ただ、その短時間にしっかり集中して練習をしているのです。

 現在58歳のサトウ監督は、元々ビーチバレーの選手でした。その後、80年代にバレーボールのアメリカ代表チームのコーチに就任して、1988年のソウル五輪ではアメリカの金メダル獲得に貢献しています。そのサトウ監督が掲げているキーワードのひとつが"スマートバレー"。これは、さまざまな選択肢を瞬時に予測して、その中で最良の選択をしていくということ。

 ボールばかり追っていくと見落としがちな相手チームの陣形の変化などにすばやく気づき、次にどんなプレイで来るのかを察知してミスを少なくしていこうという取り組みです。キャプテンの山村宏太選手が、「頭をすごく使うから疲れる」と言っていたことが、サトウ監督が選手に求めていることをよく表していると思いました。

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