女性アスリートの新たな道を切り拓く寺川綾選手

 前回に続き、今回も世界水泳バルセロナ2013に出場する選手の話題です。今回は、ロンドン五輪でメダルを獲得したあとも、まだまだ大きな夢を持って進化を続けている寺川綾選手。

 寺川選手は初めて出場した五輪が2004年のアテネ大会ですから、競泳選手としてはもうベテランといえます。11年の世界水泳上海の時も「これが最後の世界水泳」と言っていましたし、ロンドン五輪でも「最後の五輪」と言っていました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita ところが、ロンドン五輪で得るものがあったのか、「やり方はひとつじゃない」「水泳に対する考え方が変わった」と、現役を続けることを宣言。今、寺川選手が2016年のリオデジャネイロ五輪をどう考えているかわかりませんが、"この年齢になったら現役競技を辞めなくてはいけない"、"水泳をやる限りは五輪を目指さなければいけない"など、"こうでなければいけない"という枠や限界を乗り越えたことが、五輪後も続く寺川選手の目ざましい活躍につながっているのではないかと思います。

 寺川選手は、今年2月の日本短水路選手権の50m背泳ぎで日本新を出すと、4月の日本選手権も50mは日本新、100m背泳ぎは日本記録にわずか1/100秒及ばなかったものの優勝。その後6月のヨーロッパグランプリでも6戦6勝を果たし、世界ランキングは50m、100mともに2位につけています。

 既成概念に縛られることなく、女性アスリートとしての新たな道を切り拓いていると思いますし、同じ女性として、また同世代として、私にとってすごく刺激になっている選手のひとりです。

 寺川選手が現役を続けることを考えるようになった要因のひとつとして、ロンドン五輪の女子100m背泳ぎ決勝のレース前に、ある光景を目撃したことを挙げていました。

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