現役続行。水泳への情熱を貫くスイマー、北島康介選手

 スペインのバルセロナで7月20日から開催される世界水泳が近づいてきました。日本水泳陣の活躍に期待がかかります。競泳日本代表「トビウオジャパン」の象徴的な選手といえば何といっても北島康介選手です。

 私が世界水泳を担当したのは2011年の上海大会から。取材で北島選手と最初にお会いした時は、そのオーラに圧倒され、「しっかりインタビューできるだろうか......」と、不安で腰が引けていました...。そんな私が勇気をふりしぼって取材した大会前のインタビューで「自信がある」と話していた北島選手が、100m平泳ぎでまさかの4位。正直、信じられませんでした。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita レース後、「どんな表情をしているのだろう」と思い、練習プールでクールダウンをする北島選手を見たとき、肩を落としていた姿がとても印象的でした。後日、取材で「その日はホテルへ戻ってからひとりで泣いていた」と聞いた時、私は驚くとともに、五輪で連覇を達成した王者ゆえの孤独や、日本水泳界の顔として北島選手が背負っているものの大きさを感じました。
 
 また、寺川綾選手は「(上海の100mのレース後、北島選手が)周りのいろんな人の意見を聞いて泳ぎを改善しようとしていたのを見て、彼のもがく姿に衝撃を受けた。でもその姿を見て、『世界の頂点に立った選手も、私と同じように必死。私も努力してきた自分のことをもっと信じてあげよう』という気持ちでレースに臨めた。だから(50m背泳で)銀メダルを獲得できた」と話してくれました。

 そう振り返ってくれた寺川選手の言葉に、北島選手が日本競泳陣にもたらしている影響力の大きさを感じました。

 北島選手自身は「上海はすごくショックな大会だった」と話していましたが、200m平泳ぎでは銀メダルを獲得。「さすが!」と思わせてくれる積極的な泳ぎでした。

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