円盤投げ、BMX、社会人からガールズケイリンへ 卒業記念レースで輝いた期待の女子選手たち (4ページ目)
適性入所者1位となった半田水晶 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
円盤投げから転向した才女
卒業記念レース決勝では6着となったが、先行して最後まで見せ場をつくった半田水晶も、第128回生のなかで輝く存在だった。
中学から陸上競技を始めた半田は、主に円盤投げで活躍。一般入試で入った筑波大学では体育専門学群に所属し、その後は大学院に進学。スポーツ政策学を学びジェンダー関連の論文を書くなど、勉学にも励んでいた。競技では学生選手権の円盤投げで2位、2022年の全日本実業団で3位の結果を残している。
しかし実業団で活動しているなかで、迷いが生まれ始めていた。
「日本代表になって、世界大会への出場を目指していたんですが、実業団まで続けていくなかで、今の実力では世界に届かないという現実にぶち当たりました」
アスリートとしての限界を感じていたときに、ふと思い出したのが、大学時代に知ったガールズケイリンの存在。競輪で自分の可能性を試せるかもしれない。そう思った半田は「転向するなら今しかない」と2023年8月、25歳のときに陸上競技引退を決意。養成所への願書提出期日が迫っていたが、急ピッチで準備を進め、適性試験(※)で合格した。
※自転車経験がない者、他のスポーツからの転向者が受ける試験
しかし養成所に入った当初はいくつもの壁が立ちはだかった。
「円盤投げの競技時間はわずか数秒ですが、それに比べると競輪はかなり長い。だから長く継続して(ペダルを)回すことがどうしてもできませんでした。みんなからしたらウォーミングアップの周回なのに、自分はそこでちぎれてしまうことが多くて、かなり悩みました」
それでも円盤投げで鍛えたフィジカルと、一投一投試行錯誤しながら投てきしてきた分析力が生き、徐々に成績が向上。第3回記録会ではゴールデンキャップに輝き、在所成績4位、適性入所者1位で卒業することができた。
目標とする選手は、アルペンスキー選手を経て社会人から競輪選手になった、奥井迪(東京・106期)。先行主体で戦い続けてきたベテラン選手だ。
「難しいことだとは思いますが、先行で勝てる、勝ち切れる選手になりたいと思います。先行がかっこいいと思うので、そこを貫いていければいいなと思います」
転向してきた選手も輝ける競輪界。数々の先人たちの後を追い、半田は意気揚々とスタートラインに立つ。
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