ラグビー日本代表がオールブラックスと激突 過去の対戦で大野均が感じたすさまじいプライドと廣瀬俊朗を襲った疲労感とは (3ページ目)

  • PR 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

日本を成長させた強豪国との対戦

――前回のエディー・ジャパンでも2013年にオールブラックスと戦いました。

大野 その2年前(2011年)の国際大会で対戦して7-83で負けたのですが、日本代表がいつものメンタルで戦っていればもっと点差は縮まっていたと思っています。勝手に相手を過大評価して、自分たちにプレッシャーをかけて普段ではありえないミスを繰り返して、負のスパイラルで負けた。それを経ての2013年の対戦で、しっかりと準備ができていたので、試合前から楽しみでした。
ラグビー日本代表歴代最多キャップを誇る大野氏 photo by Saito Kenji ⓒJRFUラグビー日本代表歴代最多キャップを誇る大野氏 photo by Saito Kenji ⓒJRFU――結果は6-54で敗戦しましたが、印象に残っていることは?

大野 試合の最後にWTB福岡堅樹がトライしそうだったところをFLリッチー・マコウがギリギリで足元をすくって止めた。「あそこくらいトライさせてくれてもいいんじゃない!」と思ったんですが、トライをさせないというオールブラックスのプライドを見せてくれた。それがうれしかったですね。

――この試合はジョーンズHCが病気で休養されていたなかで行なわれ、廣瀬さんはキャプテンとしてチームを率いることになりましたが。

廣瀬 練習の時にエディーさんから「今のナイスプレーね!」と言われるといい準備ができていると思えていたのですが、エディーさんがいなかったので「ほんまに、大丈夫なんかな?」と確信が持てないまま、プレッシャーを感じながら試合に挑んだ記憶があります。実際に対戦してみたらいい部分もたくさんあり、いい準備ができていたと思いましたが、これまでとは違う疲労感がありました。

――ラグビー日本代表は2013年6月にウェールズ代表とも対戦し、23-8で歴史的勝利を挙げました。世界的な強豪と「リポビタンDチャレンジ」で対戦することは、ラグビー日本代表にとってどんな意味があるのでしょうか。

廣瀬 強豪国と対戦できるチャンスをもらえて、めちゃくちゃうれしかったです。対戦すると「自分たちもやれるな」とか、「ここは強いな」と肌で感じることができました。ウェールズ代表に勝利することができ、日本ラグビーが少しずつ変わっていく姿をファンのみなさんに見せられたのは「リポビタンDチャレンジカップ」の試合があったからなので感謝しています。
キャプテンとして活躍した廣瀬氏 photo by Saito Kenji ⓒJRFUキャプテンとして活躍した廣瀬氏 photo by Saito Kenji ⓒJRFU大野 2004年に初めて日本代表で海外へ行った時に、ウェールズ代表に0-98で負けて情けない思いをして帰ってきました。その相手に9年後、秩父宮ラグビー場で、最後の5分くらいで勝利を確信した時は自然と涙が出てきました。また2015年の国際大会で初めて南アフリカ代表と対戦しましたが、その前の4年間で、南アフリカ代表が普段から試合をしているチームと「リポビタンDチャレンジカップ」などで対戦して、強豪のレベルを体感できたからこそ34-32という勝利につながりました。今の選手たちは毎シーズンそのレベルのチームと対戦できているので、何か得ていると思っています。

――オールブラックスと戦うラグビー日本代表に期待するところは?

大野 僕は十分、日本代表の勝利を期待していいと思っています。昔は「日本代表がオールブラックスに勝てるかも」と言ったら笑われたかもしれないですが、今はそう言っても誰も笑わない。プレッシャーもあると思いますが、選手にはベストを尽くしてほしいです。

廣瀬 いい準備して、その日を迎えられるかどうかがとても大事。あとは自分たちのラグビーを信じて、それをみんなでやり切ってほしい。今は試合を積み重ねて、少しずつチームの雰囲気もよくなってきています。ブレイクの間にもどれだけみんなが試合を意識して、チームとして準備できるかだと思います。

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