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元ロッテのエース・ジョニー黒木の娘・芽依が新たなステージへ 父との思い出の地で見つけた自分の道 (2ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

 活発だった少女は、友人がバレエスクールの発表会で着ていたキラキラした衣装に惹かれ、3歳からクラシックバレエを始めた。そこからジャズダンス、水泳、テニスなど、多くの習い事を経験。中学受験対策で塾に通うタイミングで「これだけは絶対に辞めたくない」とクラシックバレエのみに絞った。ただ、勉強と習い事の両立ができず、父からカミナリを落とされたことがある。

「バレエが好きで、どうしても勉強したくないという時期に『そんなに勉強をおろそかにするならバレエは辞めてしまえ!』と怒られたことがあります。自分が本気でやると言ったことに対して、中途半端にしているとすごく厳しかったですね」

 それでも、普段は子煩悩な父だった。プロ野球選手はキャンプや遠征などで家を空けることも多いが、合間を縫って入学式や運動会、バレエの発表会などに参加。積極的に子育てに携わった。

「父からは普段から身の回りをきれいにするとか、家を出る前に何かをきれいにするとか、小さなことの積み重ねが大事だというのを常日頃から言われていた印象があります。母も、自分がこれをやりたいと発信したことに対して、すごく本気で向き合ってくれました」

黒木知宏氏の引退試合で花束を渡す芽依さん(写真左) photo by Sankei Visual黒木知宏氏の引退試合で花束を渡す芽依さん(写真左) photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【記憶に刻まれた父の引退セレモニー】

 ただ、黒木さんは2001年に5年連続2ケタ勝利(11勝)を挙げて以降、右肩痛に苦しみ、埼玉・浦和の二軍施設でリハビリを続ける日々が続いた。

 そして、全盛期の姿を取り戻せないまま、2007年オフに戦力外通告を受け、現役引退。2008年3月15日。マリンスタジアムで行なわれた楽天とのオープン戦後に引退セレモニーが行なわれ、芽依は妹と2人で涙ながらに花束を贈呈した。

「引退セレモニーは一番鮮明に覚えています。父が現役でバリバリ投げている記憶はほぼないに近いかもしれません。物心がついた時は浦和でトレーニングをしていました。2005年に日本一になった時から、引退試合までの記憶が強く残っていますね」

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