「株を始めるチャンスですか」 投資を学ぶ高校野球部生が「バブル期以来の株高」に直面して (4ページ目)
だからそういう会社に投資する時は、タイミングをはかる必要なんて一切ない。『今、なんだか盛り上がっているから投資しよう』などと慌てて行動に移す必要もまったくない。じゃあ、どうやって投資すればいいのかというと、タイミングなんか無視していいから、淡々と積立投資をするのが一番だね。
もし手元にまとまったお金がないなら、毎月のお給料の一部で、いい会社の株式を少しずつ買っていく。500万円くらいのまとまったお金がある場合、まずは5年~10年で積み立てるとして、年間50万円~100万円、月間4万円~8万円という計画を立てて、相場にかかわらずコツコツと積み立てを開始するんだ。その5年~10年の間には、必ず「リーマンショック」「コロナショック」のような暴落が起こるので、その時に積立額を増加する、あるいはまとまったお金で買う、そんな感じじゃないかな。
今まではデフレと円高の時代が続いていたから、なんとなく円の預貯金をしているだけでも、そのお金でモノを買う力は強くなっていった。だけどこれからはインフレと円安の時代になる可能性が高いので、そのような考え方だと、資産の価値がどんどん目減りしてしまう。
円安になったら、同じ1万円で交換できる外貨の額は減ってしまうから、海外旅行に行った時、円高だった時に比べると贅沢ができなくなってしまうし、もしインフレが進んだら、同じ1万円で購入できるモノの数量も減ってしまう。言い方を変えると、円の現金だけじっと握りしめていると、どんどん貧しくなってしまうんだ。
そういう時代がこれから来るとしたら、円の現金なんて最低限の金額だけを持っていればいい。
それよりも、海外の市場で活躍している日本企業の株式や、世界的に有名なアメリカ企業の株式に投資したほうが、20年後、30年後を考えた時には、はるかに自分のためになっていると思うよ」
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は3000億円超を誇る。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。『マンガでわかるお金を増やす思考法』が発売中。
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