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投資の鉄則「分散」について高校野球部生は「タイプの違う選手がいるのがいいチーム」と学んだ (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【分散させるメリットとは?】

奥野「僕たちにとって関係の深い野球で話をしてみようか。

 野球は9人で1チームだけど、9人全員、足が速くて、肩が強くて、強打者であるなんてことはない。俊足だけれども、肩があまり強くない選手もいれば、打撃は上手だけれども、それほど足が速くない選手、打撃はからっきしダメだけれども、投手としてのセンスがある選手など、選手としての得手不得手は皆、バラバラだよね。これが集団スポーツの面白いところで、お互いの欠点を、お互いの利点で補い合うことによって、チームとしての総合力を高めることができる。それと同じことが、投資にもあてはまるんだ。

 投資の世界では、『いい会社』に投資することが大事なんだけど、だからといって投資した5社が全社、自動車メーカーだったりしたら、それは『強打者だけれども、全員守備に穴がある』な選手だけでチームをつくっているようなものになっちゃう。だから、自動車メーカーもあれば、商社もあり、コンビニエンスストアや半導体メーカー、通信会社もあるというように、さまざまな業種に分けて、それぞれの業種で『いい会社』を探し、分けて投資するようにする。これが分散投資の基本になるんだ』

鈴木「分散させると、どんなメリットがあるんですか」
由紀「いろいろな企業に投資するよりも、1企業で勝負したほうが効率的な気もするんですけど」

奥野「由紀さんが言うように、株価が必ず上がる企業がわかっているならば、ひとつの企業だけ持つのが最も効率的なんだけれども、それがわかれば誰も苦労しない。そもそも東京証券取引所に株式を上場している企業の数は、2023年4月時点で3885社もあるんだ。ここから、一番値上がりする企業をひとつだけ選び出すなんて、絶対に無理と言ってもいいくらいなんだよ。

 だから、1企業だけに投資資金を集中させるのではなく、たとえば500万円の資金を株式投資に回すなら、1企業100万円ずつ5企業に分散させる。そうすれば、5つの企業のうち2つの企業の株価が値下がりしたとしても、残りの3つの企業の株価が値上がりすれば、損失額を小さく抑えることができるし、場合によっては5企業全体で見て利益を得ることも可能になるかもしれない」

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