【ドラマ『ドラフトキング』鼎談】クロマツテツロウ×ムロツヨシ×宮沢氷魚が語り合う「プロ野球スカウト」の魅力と生き様 (2ページ目)
凄腕スカウトマンの郷原眼力(ごうはら・オーラ)を演じたムロツヨシさん――そもそもムロさんは『ドラフトキング』をご存知だったそうですね。
ムロ はい。タブレットに漫画アプリを入れていて、「あなたへのオススメ」というところに『ドラフトキング』が表示されたんです。読み始めたら止まらなくて、1日半で全部読んでしまいました。その後にマネージャーと昼ご飯を食べる機会があって、「面白い漫画を見つけたから、映像化は難しいかもしれないけど話があったら出たいな」と話したら、「実はちょうど来てます」と。あれはうれしかったですねぇ。
――ムロさんが「映像化は難しいかもしれない」と感じたのは、やはり「スカウト」という題材がニッチだからでしょうか?
ムロ 野球ファンからすれば、こんな面白い題材はないんですけど、野球にまだ距離がある人にとってはどうなのかなと。でも、だからこそ僕らとしては面白いんですけど。
――スカウトを演じてみて、事前に抱いていたイメージとのギャップや驚きはありましたか?
ムロ 選手と一緒に夢を追いかけ、叶えていくという面は、イメージしたとおりでした。その一方で、残酷な一面もあるんだなと。作中で「お前が入団することで、誰か1人がクビになる。そういう厳しい世界だ」というセリフが出てくるんですけど、重みを感じましたね。僕ら役者の世界は、1人入ってきても、1人いなくなることはないですから。プロ野球のスカウトは夢を叶えるだけでなく、夢を奪う残酷な職業でもあるわけです。
宮沢 自分も中学までは「プロになりたい」という思いを抱いて野球をやってきた身ではあるんですけど、あまりスカウトがどうとかは考えていませんでした。漠然としたイメージで、選手の映像を撮って、スコアやデータを取って上司に見せて、会議をしてどの選手を獲るかを決めているものだと思っていました。でも、実際には選手の歩んできた歴史のすべてを知って、プロでやれるのか性格やメンタルまで把握するんですよね。スカウトと選手は人間同士、深いところで絆が結ばれてチームに入っていく。その人間ドラマに僕はすごく感動しました。
ムロ さらに今回のドラマではまだ描かれていないんですけど、原作では引退間際の選手に対するスカウトマンの言葉もまたよくて。選手をプロの世界に入れるだけではなくて、見届けるところまで描いているのが原作のすばらしさだと感じます。
クロマツ 原作の宣伝までしてくださって、ありがとうございます(笑)。僕としては、「プロ野球選手になるのって、マジですごいことなんだからな」って伝えたい思いが一番にあって、作品をとおして感じてもらえたらうれしいです。
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