「日本人ってダンスに興味がないんだ」からの野望とは...。ダンサーFISHBOY、兄・中田敦彦のアドバイスでYouTube登録者数が激増

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya

ダンサー世界一の称号を持つFISHBOYダンサー世界一の称号を持つFISHBOY
FISHBOY インタビュー②

 POPPINGダンサーとして世界一に輝いた実績を持つFISHBOY。プロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」に参戦するCyberAgent Legit(サイバーエージェントレジット)のディレクターを務めるなど、いまのダンス界をけん引するスター的存在で、オリエンタルラジオ中田敦彦の実弟としても広く知られている。

 そんな彼の野望は「日本人全員を踊らせる」こと。この壮大な野望は、ただダンスが好きだからとか、踊ると楽しいから、というシンプルな理由から生まれたものではない。そこには彼が体験した絶望にも似たむなしい過去があった。

「中学生からダンスを頑張ってきて、2009年で世界一を獲ったんですね。すごいことを成し遂げたんだと意気揚々と大会があったパリから東京に帰ってきたんです。飛行機の中では、空港に着いたら記者会見が行なわれるだろうと思っていて、どう答えようかなと考えていたんです。

 そして羽田空港に着いて歩いていても、誰もいないわけですよ。荷物受取所で荷物を取ってからなんだと思って、荷物を持って外に出たんですね。でもまだ誰もいない。そのままエスカレーターを降りて、京急線に座った瞬間に、『あれ、(世界大会に)行く前と同じだ』と思ったんですね。

 その時にすごくむなしさがこみ上げてきました。頑張って頑張って頑張って、世界大会で優勝して、会場はめちゃくちゃ盛り上がっていたので、何かを成し遂げたんだと思っていました。でも帰ってきたら、何も変わらない生活が待っていた。そう思った瞬間に『俺はいったい何をしてきたんだろう』と一瞬でも思っちゃったんですね」

 プロスポーツ選手並みの練習をこなし、ダンスにすべてを注いできた彼にとって、世界一の称号は夢にまで見た栄誉だった。多くの人から称賛され、どこに行っても羨望のまなざしで見られることを想像していた。しかしメディアはまったくの無関心。まさにどん底に突き落とされた気持ちだった。その状態でFISHBOYは考えた。

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