日本新を連発した青木玲緒樹が27歳で覚醒。「自分の考え方が間違っていたのかなとも思う」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Ninomiya Wataru

【今が一番の成長期】

「彼女は筋力も強いし、スタートもうまくて身体能力は高い選手です。池江璃花子(ルネサンス)のような天才肌の選手もいるが、20代後半になって、持っている才能にセルフマネージメントが追いついてくる選手もいて、人それぞれだと思っています。だから今回は、僕のところに移ってきてから強くなった寺川綾とか、27歳になったリオで金メダルを獲った金藤理絵のことを思い出しましたね。

 あのふたりと同じように、彼女にとってはここが一番の成長期だと考えてやっていきたいです。世界との戦いはそうは簡単にはいかないと思うけど、今回の代表には花車優(東洋大4年)も200m平泳ぎで優勝して入ってきてくれたので、マンツーマンにならずに指導できるから、玲緒樹も落ち着いて練習ができると思います」(平井)

 青木は2日目の50mでも、鈴木聡美(ミキハウス)が18年に出していた日本記録を、0秒37更新する30秒27で優勝して世界選手権代表を内定。最終日の200mは疲労もあって7位だったが、日本歴代4位の2分21秒85の自己記録を持っているだけに、今回の覚醒で今後は期待できる。

「自分が自分を信じる以上に、平井先生は自分を信じ続けていてくれた。今回の日本記録でひとつ恩返しができたと思うので、次の世界選手権は19年にメダルを逃した悔しさもあるので、きちんとメダルを獲得して恩返ししたいと思います」

 こう話す青木の世界選手権の目標は、これまで世界で7人しか出していない100mで1分04秒台に突入すること。今回の優勝で自信を得た彼女はしっかり欲を持ち、これから日本女子競泳の主柱になっていくはずだ。 

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る