競泳のヒロイン大橋悠依が手に入れた強さ。初の世界で大きく成長した (5ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Enrico/AFLO SPORT

 一方、この大会で世界選手権の厳しさを味わったレースもあった。

 次の400mは最終日のため、中5日というスケジュールだった。大橋はそこに向けてうまく調整を合わせることができず、最初から自己ベストのラップよりも遅れる泳ぎで、4分34秒50。4位という結果に涙をボロボロと流した。

「レースを終える選手もいる中で、気持ちをうまく持っていくことができませんでした。準備の面でも疲れがどんどんたまってきて、うまくいきませんでした」

 200mでは銀メダルを獲得して世界と戦える手ごたえを得た一方で、メダルを狙っていた400mで悔しさや厳しさを味わったことは、大橋にとって貴重な経験になった。精神的にも肉体的にも、もう一段階レベルアップしなければならないことを肌で理解した。

 そこから大橋は次なる挑戦に向かった。2018年の日本選手権では、400mで4分30秒82の日本記録を出し、200m自由形にも出場して2位。パンパシフィック選手権では、400mと200mの個人メドレー2種目に加え、4×200mリレーのメンバーにも入った。本番では個人メドレー2種目で金メダルを獲得したうえで、リレーでも4泳として日本記録樹立に貢献した。

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