池江璃花子が再スタート。世界ジュニアで明暗を分けた2レースの違い

  • 松田丈志●文・写真 text & photo by Matsuda Takeshi

「キャプテン」松田丈志の目線

メダルを手にして、笑顔を見せる池江璃花子。右は筆者メダルを手にして、笑顔を見せる池江璃花子。右は筆者

 前日とはまるで別人のレースだった。

 アメリカ、インディアナポリスで行なわれている世界ジュニア選手権は4日目を終えた。26日の女子50mバタフライ決勝に出場した池江璃花子は25秒46の日本新記録、世界ジュニア新記録で見事優勝した。池江はこの種目、スタートからタッチまで自分の考えたレースプラン通り、冷静にミスなく泳ぎ切った。

 しかし、前日に行なわれた女子100m自由形決勝では消極的なレースになってしまい、自分の力を出し切れてなかった。普通にやれば勝てると思っていたが、それが難しいのだと改めて思わされたレースだった。

 100m自由形も池江は世界ジュニア記録保持者でエントリータイムも1位だ。その実力通り予選、準決勝と余裕を持った泳ぎで1位通過していた。予選は54秒41。前半の50mを積極的に入り、26秒37。これは自己記録のラップタイムからわずか0.16秒の遅れで、午前中のレースとしては申し分のない入りだ。

 準決勝は予選から記録を上げ、54秒06で1位通過した。準決勝では前半を抑えて入ったが、後半のラップが27秒34。この記録は自己記録の後半のラップを0秒13上回る記録だった。

 このレースの内容からも池江のコンディションは良いと感じたし、勝利はほぼ間違いないと思っていた。しかし、迎えた決勝は54秒16で2位だった。前半は予選、準決勝よりも遅い26秒83の7位でターン。ラスト25mから隣で先行するカナダのフレヤ・アンダーソンを必死に追い上げたが、間に合わなかった。

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