メダル候補の15歳。飛び込みの板橋美波がリオ五輪へ前進中 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 そんな中、「一緒に始めたふたりより練習量は半分くらいだったのに何故か……」という自分でも不思議なくらい、筋肉がどんどんついてきた。

「一番ショックだったのは、(太股の筋肉が)男子の先輩と同じくらいだとか、コーチよりすごいと言われたことですね。Gパンを買う時も太股に合わせたらウエストがブカブカで、ウエストに合わせると太股がパツパツだから。それで休みの日はいつもジャージでいるんです」と苦笑する。

 だが、その筋肉があるからこそジャンプ力が向上し、持ち前の回転速度をさらに生かせるようになったのだ。馬淵崇英コーチも「あのジャンプ力と男子以上の回転の速さは特別な才能。練習では安定している109Cをいかに試合で出せるかが課題だが、能力的にはトップにいける力がある」と評価する。

 7月の世界選手権では、12位以内に入って決勝に進出すれば、来年のリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得できる。視界は一気に広がってきた。

「前は五輪に『出られたらいいな』くらいに思っていたけど、今は優勝したいと思えるところまで来ていると思うし、そんなに遠くない夢だと思うので、頑張って必死に食らいついていけば、リオでも結果は残せると思います。だからまずは世界選手権ですね。ただこれまでの海外の大会では緊張して失敗することの方が多かったので、日本で350点くらい出していても、初めてワールドカップに出たときは290点とか、自分が高飛び込みを始めた頃くらいの得点でした。精神力をもう少し強くしていけたらと思います」

 以前は世界を甘く見すぎていたところがあったという板橋。初めての日本代表に入った13年東アジア大会は1mと3m飛び板飛び込みに出場したが、「メダルを取れる」と言われていながらも失敗を重ねて5位と7位に終わった。

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