【マラソン】別大でMGC出場権獲得も、福谷颯太が抱いた悔しさ「吉田祐也さんと黒田朝日君への応援がすごくて...」 (3ページ目)
【自分の名前をもっと実況してもらえるように】
福谷は、吉田と黒田のふたりに37km過ぎから少しずつ離された。それでも粘って2時間07分11秒の自己ベストで4位となり、MGC出場権を獲得した。
「最後のほうは脚が痙攣したりしていたので、(無理をして仕掛けて)棄権となったり、(順位を落として)MGC出場権を取れなくなったりするのが怖くて、そのままゴールできたことに少し満足してしまったんです。もっと相手にとって脅威になる走りをしたかったですし、『次こそは』という気持ちになりました」
MGC出場権を早い段階で獲得できたことは、マラソン経験の少ない福谷にとって大きなプラスだ。すでに今シーズンの強化テーマも決め、着々と準備を進めている。
「今シーズンは、スピード強化に重点的に取り組んでいます。マラソンに向けて走り込む練習を積んでいるなかでスピードを強化していくのはなかなか難しいですが、筋トレを含め、いろいろ考えながら継続した取り組みができています。今の練習の流れを維持しながら、秋には海外でハーフを走り、5000mでは13分35秒切り、10000mでは27分台を出したいですね。それができたらマラソンペースの余裕度が上がってきますし、2時間05分台を狙えるようになれば、オリンピックに行けるチャンスが広がると思っています」
MGCの先にあるロス五輪は、福谷にとってどういう位置付けなのだろう。
「自分は中高大と注目を浴びたことがありません。それこそMGCが競技人生で最初の大きな舞台になります。そこで結果を出せたら、今度はオリンピックが人生最大の舞台になるので、なんとかして出たいですね。ロス五輪の時には28歳。肉体面だけを見れば、ピークといわれる年齢です。こんなチャンスはないので、仕留めなければいけないと思っています」
ロス五輪へと続くMGCでは、優勝を目指すことはもちろん、今年2月の別大での悔しさも晴らす決意だ。レース終盤、日本人トップ争いを繰り広げた吉田と黒田には、沿道から絶え間なく応援の声が上がっていた。
「自分と吉田さんと黒田君の3人の集団になった時、ふたりへの応援がすごくて、『なんなんだ』と思って走っていました。また、テレビ中継の映像を見返すと、実況のアナウンサーが吉田さんと黒田君の名前ばかり呼んでいて、悔しさが増しました(苦笑)。自分もこれからマラソンランナーとして結果を出すことで、もっと応援してもらえるようになりたいと強く思いました。MGCでは、自分の名前をもう少し実況してもらえるように頑張ります」
果たして、来年10月のMGCでは、沿道の応援や実況を自分に向けられるだろうか。それを実現すれば、ロス五輪への道が大きく開けてくるはずだ。
(了)
福谷颯太(ふくたに・そうた)/2000年生まれ、東京都出身。日野台高から筑波大に進み、箱根駅伝は3年時に関東学生連合の一員として5区を走って区間10位相当。大学卒業後は黒崎播磨に入社し、自身3度目のマラソンとなった2026年2月の別府大分毎日マラソンで2時間07分11秒(日本人3位、総合4位)を出し、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ/2028年ロサンゼルス五輪マラソン日本代表選考会、2027年10月3日開催)出場権を獲得した。マラソン以外の自己ベストは5000mが13分36秒30、10000mが28分18秒45、ハーフマラソンが1時間00分58秒。
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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