廣中璃梨佳の代表内定が起爆剤となるか。東京五輪1万m女子のレースが面白い (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 日本陸上競技連盟●写真提供

 安静時の心拍数は一般人の半分ぐらいの30ほどで、心肺機能は抜群だという廣中。手足が長く体幹部も欧米人のような厚みがあり、「スピードとスタミナを兼ね添えられる体型」と高橋監督は言う。さらに精神面も駅伝などで苦しくなっても何度も粘り返す強さも見せていて、「スイッチが入るとリミッターを外す走りをしてくれる」(高橋監督)という魅力もある。

「今回1万mの代表を決められたことで、五輪へ向けての練習にも余裕を持てるようになったと思います。気持ち的にも余裕を持てたし、彼女自身も『スタミナでは負けない』という自信を持って5000mに臨める。そのレースを五輪の予選と想定して臨んで本番へ向かう長期的な強化ができると思います」

 東京五輪に向けては本人も、「レース展開に関しても最初から行くだけではなく、これから経験を積みながらたくさんのレースパターンを身に着けていきたい」と言うように、世界のトップ選手たちとの本気の戦いを経験するいい機会ととらえている。

 東京五輪の女子長距離は競技初日に1万m決勝が行なわれたリオデジャネイロ五輪と違い、初日に5000m予選があり、中2日おいて決勝。さらに中4日の最終日前日が1万m決勝というスケジュールになっている。世界のトップ選手も5000mと1万mの2種目に出場するパターンも多く同じ条件になるが、廣中にとって自ら「本命」と話す5000mの挑戦を終えた後の1万mは、思い切って挑戦できるレースになる。

「自分らしく伸び伸びと戦っている姿を見せたい」と話す廣中。新谷とともに積極的なレースをすれば、ともに東京五輪で入賞という価値のある経験を20歳でできる可能性も広がってくる。

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