東京五輪、男子マラソン決勝だった日。服部勇馬は今どんな気持ちでいるのか (3ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • photo by Kyodo News

 たとえば、オリンピックで序盤からハイペースでアフリカ勢が仕掛けた場合、どう対応するのか。それともスローな展開で進みながら、どこかで急激なペースアップが起きた際にどう動くか。そうした実戦対策にも取り組む必要があるが、佐藤監督によれば、そこについてはもうちょっと先になるという。

「練習の基本的な部分は変えません。持久的な強さが服部のよさですから、ジョグを中心に、ペースを変えながら走る変化走もこれまでどおりやっています。ただ今後は20㎞、30㎞の中で一気にギアを上げていく練習などもやっていく必要はあるでしょう。具体的な方法は本人と話し合って決めていきます」

 途中でマラソンを挟めば、新たに見えてくることもあるはずだ。現時点で焦りはない。

◆MGC勝者・中村匠吾は周到な計画で才能が開花した

 今年1月のニューイヤー駅伝前に軽い肉離れを起こしたが、2月以降は練習が途切れていない。今後もケガをしないよう注意しながらマラソンランナーとしての土台を固めていくことに努め、その先に実戦対策を入れていく。

 来年の8月8日(東京五輪の男子マラソン開催予定日)、どんなイメージでオリンピックに臨みたいか。最後に聞いてみた。

「まずはこの1年間、身の丈にあったトレーニングをしながらも挑戦する気持ちを忘れないようにしたいです。でも練習中、欲が出てきたときにやりすぎないようにしないといけません。練習をしっかり積み重ね、本番では最大限、力を発揮できるイメージを持ってスタートラインに立てればと思います」

 直前の調整は福岡国際、MGCと2度の成功事例が示すとおり、自分の方法を確立している。これまでどおり、着実にレベルアップしていけば自信を持って臨めるはず。オリンピックを1年後に控えた今、服部はそう考えている。

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