神野大地マラソン人生の第2章がスタート。新コーチは元五輪ランナー (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

「結果が出なかったことについては、僕の力がまったく足りなかったということではないと思っていました。チームのみんなと話をして、中野さんから提案があったんです。『やっていくことに対して、疑問を持つようにしよう』と。

 ケニアに行くこと、フィジカルトレーニングを含めて、取り組んでいることに対して、本当に自分に合っているのか、本当に必要なのか......これからは常に疑問を持つようにしてやっていこうと言われたんです」

 中野と高木は、神野が全幅の信頼を寄せている人物だ。だが、それゆえに言われたことに対して、深く考えずに受け入れてしまう傾向にあった。

「性格的に、この人は信頼できると思った人の意見は素直に受け入れてしまうんですよ。中野さんや(高木)聖也さんは、信頼しているがゆえに任せすぎてしまっていた。自分に合っているのか......ということに対して、何の疑問も持たなかったんです。

 自分と聖也さんが考えたメニューをやれば強くなれると思っていましたし、これでいいと思ってやっていました。でも、これからはしっかり立ち止まって、その都度、確認しながら進んでいこうという話をしました」

 東京五輪を目指してチームでスクラムを組んでやってきたが、最後のチャンスとなった東京マラソンで結果を出せなかった。中途半端な結果ではなかったことが、むしろ神野にとってはよかったのかもしれない。何かを変えるきっかけになったからだ。

 そして、神野は高木コーチから新たな提案を受けた。

「新しいコーチをつけてやったほうがいいと思う」

 そう言われた神野は「それもいいかな」と、素直に思ったという。

「聖也さんとふたりで練習メニューを決めてやってきたんですけど、それ自体は間違っていなかったと思うし、成長できたと思っています。ただ、東京五輪という大きな目標が途絶えて、次の目標に向かう時に何かを変えるべきだなとぼんやり思っていたんです。そのタイミングで聖也さんから提案が出て......最終的に僕に決めてほしいと、判断を委ねてくれたんです」

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