箱根連覇への舞台は整った。東海大3年生の黄金トリオがいよいよ出陣 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

「名取のすごさは近くで見ていたのでよくわかります。あらためて強いランナーだと思いましたし、名取の走りを見て、負けてられないと思った。そうして切磋琢磨して力を高めることができたので、名取、西田がいてくれてほんとよかったと思います」

 3人の走りは、さらに同学年の仲間を刺激した。鈴木雄太は前回に続き、今回の箱根駅伝も16名のエントリーメンバーに入った。さらに米田智哉も、高島平ロードレースで61分31秒(部内2位)、上尾ハーフで63分10秒(部内4位)と調子を上げ、メンバー入りを果たした。

 塩澤はうれしそうにこう言った。

「自分たちの学年は9人いるのですが、今回5人が箱根のメンバーに入った。残りの4人も次の箱根は走らないと......という感じになっているので、学年としてはすごくいい感じになっていると思いますし、黄金世代が抜ける来シーズンにつながると思います」

 名取も「3人で走れるのは本当にうれしい」と語る。

「同級生が一緒に走れるのは心強いですし、同時に『やってやろう』という気持ちになっています。だから、箱根はめちゃくちゃ楽しみです」

 名取は12月29日の区間エントリーで補欠に回ったが、当日変更で走ることが濃厚だ。全日本と同じく3人が揃って100%の走りができれば、ほかの選手への刺激にもなり、箱根連覇も見えてくるだろう。西田は自信に満ちた表情でこう語る。

「2年間は3人で走りたくても一緒に走ることができなかった。今シーズンは全日本で3人が揃って走り、優勝という形で終えることができた。やっぱり3人が揃うと強いなって感じたので、箱根も強さを見せて優勝したいですね」

 3人が誓い合った約束を果たす時が、ついにやってくる。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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