立教大が箱根駅伝を目指し改革実行。名選手の指導でチームは変わった (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 この日の練習は5000m+3000m+6000mのPRトレーニング(一定のペースで走るトレーニング)だった。インターバルの設定を大事にしていたが、ある選手が途中でトイレに駆け込み、その設定タイムを守れなかった。上野監督は練習後「事前の準備ができていない。設定タイムから外れることで、狙っていることができなくなる」と、その選手に注意していた。

 上野監督は自らの経験を生かして、守るべきところは小さなことであっても妥協しない。「今日できた」ことを小刻みに積み重ね、「できなかった」ことを減らしてレベルアップさせている。

 実際、斎藤を含め成長している選手は多く、10月の日体大記録会の1万mでも自己ベストを更新する選手が多数出た。春から着実にレベルアップしていることを、上野監督も選手も実感している。

 斎藤は言う。

「監督が来て、どういう意図で練習しているのかが明確になって、練習の質が高まり、タイムが上がってきた。それでみんなの意識がだいぶ変わってきました。また、監督は自分たちで考えて走ることも大事にしてくれる。自主性ですよね。それは成長するうえで大事ですし、立教のよさかなと思います」

 上野とともに成長してきたチームが、いよいよ箱根駅伝の予選会()を迎える。

※箱根駅伝予選会は、ハーフマラソンで行なわれ、各大学10~12名が出場(エントリーは14名まで)。各大学の上位10名の合計タイムにより、順位が決定する。

「チームとしては20番以内、個人としては関東学生連合に入れる選手をひとり出したい」

 上野監督は今回の目標をそう語る。

 昨年の予選会で立教大は28位(11時間2436秒)で、20位の明治学院大(11時間0545秒)とのタイム差は1851秒(選手ひとりあたり約1分53秒差)だった。その差を埋めるのは容易なことではなく、しかも今回は43校が出場する予定で、さらにハードルが上がりそうだ。

20番以内というのは、目標として掲げていますが、正直、かなりきついです(苦笑)。今のチームからすると2段階ぐらい上の目標になります。僕がひそかに思っているのは、ひとり1分以上短縮すること。選手にそれぞれタイムを伝え、まずはチームとして10分から12分程度、昨年よりも早くなってくれればいいかなと思っています」

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