エチオピアで一流ランナーと練習。神野大地が意識改革した25日間 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 世界のトップランナーと一緒に走り、質の高い練習に触れた。練習後、いろんなことを語り合うなかで同じランナーとして感じることが多々あったと神野は言う。

「ケニアで1カ月半ぐらい、エチオピアでは25日間しか滞在できなかったんですけど、本当に世界のトップを目指すのではあればそこに住むか、あるいはファラーのように3カ月の合宿が必要になってくるのかなと感じました。エチオピアの環境で3カ月住んで練習する覚悟は相当なものがある。結果など自分が求めているものが高いからこそ3カ月、頑張れるのかなと思いましたね」

 トップアスリートは、オンとオフのメリハリをつけるのに長けているのもあるが、練習に取り組む集中力がすごい。ファラーのように3カ月、停電などいろんなことが起こる場所でも質の高い練習を常にこなしている選手は、それをしっかりと結果につなげている。

 実際、エチオピアでマラソンの調整をしてきたファラーはロンドンマラソンに出場し1位のエリウド・キプチョゲ(ケニア/2時間2分37秒)、2位のモジネット・ゲレメウ(エチオピア/2時間2分55秒)には及ばなかったが、5位(2時間5分39秒)に入賞している。

「スポーツによっては、練習時間が短くても強くなる人がいるし、感覚的にやれてしまうことがあるかもしれないけど、陸上......とくに長距離で強い選手は相当練習しています。キプチョゲもすごく練習していると聞いていますし、強くなるためには練習が必要だというのは今回、ファラーを見たり、トップ選手の言葉を聞いたりして、あらためて思わされました。練習しなきゃ100%速くも強くもなれないです」

 アスリートにとっては、普遍的なことにあらためて気づくことも大事なことだ。気づきは、選手の意識を変え、意識が変わると姿勢が変わる。強くなるためにより貪欲になる。神野はファラーの練習やエチオピアでの練習スタイルを見て、刺激を受け、自分の練習にも取り入れてみようかなと思ったことがあったという。

 それは、いったいどういうものなのだろうか――。

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