東海大の新主将・館澤亨次の誓い「学生駅伝3冠と新時代の常勝軍団へ」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 そんな館澤だが、キャプテン就任ついては、非常に謙虚だった。

「僕は歴代のキャプテンに比べると、力が劣っている部分があるんです。だから、自分が引っ張っていくというよりも、みんなに協力してやってもらいたい。頼りないキャプテンだけど、みんなの力を借りながら全員で動かしていけるチームづくりをしていきたいですね。そういうチームが本当に強いチームになると思うんで......」

 館澤たちの代は"黄金世代"と呼ばわれている。野球に例えると、甲子園に出場した全国各地のエースが東海大に集結したという奇跡的な代である。選手たちは高い競技力を持ち、個性も非常に強い。これまでのキャプテンも、彼らのハンドリングについて苦労することもあった。

 だが今度は最上級生として、黄金世代の彼らがチームの舵取りを任されることになる。館澤は、強烈な個性を持つ同期の仲間たちをどうまとめていくのか。

「個性が強いからといって、僕は心配していません。みんな最上級生になるという自覚が出てきています。ひとりひとりがチームを動かしているんだという自覚を持っていけば、いい方向に個性が発揮されると思います」

 黄金世代の選手は、駅伝だけではなく個々の種目でもトップレベルの力がある。館澤もそのひとりで、1500mは関東インカレと全日本選手権で2連覇中だ。

 昨年は日本代表としてアジア大会にも出場し、1500mでは日本の第一人者になりつつある。そのために駅伝はもう走らず、「1500mに集中か?」という話が流れたが、「それはないですよ」と館澤は一蹴した。

「なんか自分は駅伝やらないみたいになっていますが、まったくそんなことはないです。自分は駅伝と1500mを両立して、秋の駅伝シーズンまでは1500mを頑張ります。来年は東京五輪がありますし、そのステップとしてドーハでの世界陸上に出場したい。今年はキャプテンなので、チームに勢いをつけられるような成績をトラックで残して、駅伝シーズンに臨みたいと思っています」

 両角監督も「彼のなかでうまく両立することを昨年ぐらいから掴んできている」とまったく心配していない。

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