神野大地はフォーム改造中。意識もチェンジで福岡国際マラソンに挑む (4ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

 中野が求めているのは、フォームの改造だけではない。より大きなパワーのあるエンジンにフルチェンジしようとしている。

「走りに関して言うと、今の神野は必要な火力に対して出力が多すぎてしまう感じです。でも、火力が強いままでもゴールできるようにパワーをつけたい。彼の場合は、安パイをつくっておきたいんですよ。42.195キロではなく、フルマラソンで50キロを走れるぐらいのものをつくっていかないと東京五輪で勝つのは難しいかなと思います」

 そのレベルに行かないと、東京五輪では戦えないということなのだろう。

「別次元の神野大地をつくらないといけないと思っています」

 中野は、厳しい表情で、そう言った。

 福岡国際マラソンを前に気になるのが、腹痛である。

 ベルリンマラソンでは、30キロ地点で発症し、初めて途中棄権をした。福岡国際マラソンでMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)出場の権利を獲得すれば、来年9月にレースが控えている。そこで腹痛が起き、蓄えた力を発揮できずに終わることだけは避けたい。

 中野はベルリンマラソン後、神野と腹痛について2時間程度、話をしたという。

「ちょっと考え方を変えていこうと。どんな選手も完璧に調整するのは難しい。腹痛に対してネガティブにとらえるのではなく、神野を支えるチーム全体で前向きに考えていこうという話をしました」

 引き続き原因の解明を進めていく一方で、神野も中野との話し合いで腹痛に関してひとつの判断を下した。

「自分のなかで、腹痛がすごい問題だととらえることをやめにしました。腹痛が出なければ結果が出るのかと言えば、必ずしもそうじゃない。普段のトレーニングをしっかりこなした先に結果がついてくると思うんです。もちろん今後もドクターと話をして治療を考えていきますが、腹痛を意識せずにやっていこうと決めました」

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