「出雲駅伝プロジェクト」で勝利。2年ぶり王者奪還の青学大に隙なし (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 原監督の描いたプラン通りに選手が走り、結果を出した。

 それは今年の箱根で、駅伝未経験の林奎介(4年)が7区で区間新というとんでもない走りを見せる選手が出てきたように、今回も生方、吉田らが初駅伝にもかかわらず、好走する分厚い選手層に加え、鈴木の2区起用という離れ技を決めた原監督の優れた戦術眼もあるが、青学大の最大の強みと言えるピーキングのうまさが発揮されたのが大きい。

 昨年、箱根4連覇を達成した時も1カ月前は、選手のコンディションがまだバラバラだった。だが、レース当日にピタリと合わせたピーキングで選手がそれぞれの持ち味を発揮し、箱根4連覇を達成した。

 今回も東洋大は2区の西山和弥(2年)が区間6位、4区の小笹椋(4年)が4位に沈み、もうひとつ流れに乗ることができなかった。

 一方、青学は6区間中、区間賞が3人、2位が3人と選手がひとりも調子を落とすことなく走り切った。選手の力にそれほど差がない場合、細かな配慮が勝敗を分けることになる。中野ジェームズ修一が主宰するスポーツモチベーションのスタッフが参加してのコンディション作りが、箱根の時と同様に功を奏したと言える。

 4連覇を達成した箱根をはじめ、今回勝った出雲を見ていると、勝つために必要なものが青学大はわかっている。何度も駅伝を勝ってきたチームにしか得られない「勝者になるための術」を青学大は持っているのだ。

 「出雲プロジェクト」は成功し、3大駅伝のうち、まずは1冠を達成した。

 つづく11月の全日本大学駅伝は出雲駅伝の翌々日に選手エントリーが締切りになる。青学大は出雲のメンバーにプラス、長距離に強いメンバーが3名入り、全日本を取りにいくことになるが、本命なのは間違いない。正直なところ分厚い選手層を軸にピーキングがうまい青学大が力的に抜けている。

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