200mで日本一の飯塚翔太が明かす
「やっぱり100mも走りたい」 (3ページ目)
実際、リオ五輪でも去年の世界選手権でも、個人種目をやっている間はリレーのことは全然考えていませんでした。メンバーを選ぶのは(チーム)スタッフなので、選ばれなくても『しょうがない』という気持ちがある一方で、2走はずっと僕がやってきているので、やりたいという気持ちは強いです。リレーに関しては誰もが執着しすぎないようにしていて、選ばれたら『頑張るぞ』という感じ。ただ、内心では間違いなく、みんな『絶対に俺が選ばれる』と思っているはずですけどね。僕も『2走は俺しかできない』と思っていますから」
2012年ロンドン五輪から日本代表入りしている飯塚が、2走を初めて務めたのは14年アジア大会だった。それ以前の五輪や世界選手権、世界リレー選手権では4走を務めていた。
「(14年のアジア大会で)最初は『2走がきちゃった!』という感じでしたね。でも実際に(2走を)やってみたら面白かったです。今は一番好きだし、どういう状況で走ってもちゃんと繋ぐ自信はあります」と笑顔を見せる。
2走は各チームともにエースが務める。順位変動が明確にはわからず、一見地味にも感じるが、チーム戦略上では重要な区間だ。その2走の走りを飯塚はこう説明する。
「後ろにも前にもすごい選手たちがいるから、どれだけ自分の走りに集中できるかですね。前の選手を見て『縮まらない、縮まらない』と思ったら遅くなってしまうので、絶対にバトンを渡す人だけを見て走ります。アンカーだと1走や2走の走りを見ながら、(日本が)どのへんの位置にいるかを考えてしまいますが、2走はどういう位置になっているかあまりわからないので、かえって楽ですね。
ただ、リオ五輪のときは後ろにヨハン・ブレーク(ジャマイカ)がいて、その後ろにはジャスティン・ガトリン(アメリカ)がいたので、何か猛獣に追いかけられている感じで『逃げなければ!』と走っていました(笑)」
その時の飯塚の100m区間のラップタイムは9秒08だった。世界のトップ選手を見てみれば、ロンドン五輪のアンカーのウサイン・ボルトが8秒70とダントツだが、バトンパスが2回ある2走は速くても9秒0前後。その点では世界トップクラスの走りをしているのだ。
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