日本陸上界に、あの「メダル候補」が2年9カ月ぶりに帰ってきた (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 この日のレースを「本人が目指していた目標と結果が近いところに収まり、なおかつペース配分をうまくやって歩きのコントロールをできていた」と評価するのは、富士通の今村文男コーチだ。

 歩きに関しては「故障していた部位が股関節とか恥骨部分なので、当然『動きをもう少し大きく、力強く』となると筋肉を使わなければいけないですが、まだその段階ではないので。まずは第一歩として5000mを目標の1km4分ペースというところまできたので、これからは筋力トレーニングやリハビリも含めながら歩く練習の方に重きを置いて、動きを改善できるようにしていけばいい」と話す。

 もちろん故障を再発させないために、細心の注意を払っていかなければいけないが、鈴木自身は今の状態をこう見ている。

「考えてみれば12年のロンドン五輪の前も故障をして3カ月くらい休んでから復帰したんです。その時は故障自体も大きなものではなくて、癒えてからすぐに普通の練習ができるようになった状態で5000mに出ていました。その時と比べても(今回の)記録はほとんど同じくらいなので、それを考えればまだまだ戻していけると感じています」

 現在の日本男子競歩界を見れば、5月5~6日に中国で行なわれた世界競歩チーム選手権の50kmで、荒井広宙(ひろおき/自衛隊体育学校/16年リオ五輪で銅、17年世界選手権で銀)が優勝したほか、勝木隼人(自衛隊体育学校)が2位、丸尾知司(愛知製鋼)が3位と、表彰台を独占してチーム優勝を果たしている。

 また、これまで世界ではなかなか結果を残せていなかった20kmでも、湿度80%を超える厳しい条件の中で若手の池田向希(東洋大)が優勝し、山西利和(京大)が4位、藤澤勇(アルソック)が7位になって、こちらもチーム優勝を果たした。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る