2018.01.11

【月報・青学陸上部】箱根V4の裏側。
走る選手を見抜く恐るべき眼力

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun photo by Nikkansports/AFLO


 春から続いていた監督と学生たちとのわだかまりも完全に解消されたわけではなかったが、箱根を前に勝つことに集中し、そうした小事を捨てて、チームがひとつになって箱根を獲りにいった。出雲、全日本はどこか選手の集中力が散漫だったが、大一番を前に選手の表情を見ていると迷いなく、練習に取り組めているのがわかった。

 原監督が常々言っていたように、前年優勝した時と力が変わらないのはデータから証明されていた。あとは、選手にやる気を起こさせるだけだったのだ。最終の仕上げでモチベーターたる監督の能力が最大限に発揮され、チームは戦う集団となって箱根当日を迎えることができた。

 今回、優勝したのは各区間の選手たちの必死の走りが最大の要因だが、最終段階での選手の調子を見抜いて起用した原監督の「眼力」と「モチベーター力」も非常に大きかった。

 それまで調子の悪かった選手が箱根本番でどうなるのか、あるいは調子がいい選手がどうなるのか、それを察知する力がずば抜けて高い。これは原監督が言う通り、普段から選手と一緒に寮生活しているからの強みでもある。調子の良し悪しはふだんの何気ない選手の言動や走りから測る。それに長年の経験を加味して、その選手が箱根で走れるかどうかを判断する。その眼力の凄さに驚いたのは、昨年だ。

 当時4年の秋山雄飛(ゆうひ)の調子が上がらず、チームの選手の誰もが「もう起用はないだろう」と思っていた。しかし、原監督だけは秋山の復調の気配を読み取って3区に置いた。秋山は監督の期待に応え、区間賞の走りで首位に立ち、青学3連覇に大きく貢献した。

 今回も7区の林の起用がドンピシャで当たった。