全日本を勝った伏兵・神奈川大は、箱根駅伝でも青学、東海を崩せるか (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 今回の勝利を冷静に見れば、青学大と東海大にミスがあったことも大きな要因だ。青学大の原晋監督は「出雲と同じように1区で出遅れたのが課題。4区が終了した時点で『もしかしたら勝てるかな』と思いましたが、5区の下田の起用を踏み切った私自身に見る目がなかったということ。あそこで離れなかったら、後半面白いレースができたかなという意味合いでは、悔しいというか残念ですが、1区以外は区間4位以内だったというのは収穫でもあります」と言う。

 東海大の両角速(もろずみ はやし)監督も「トラックシーズンで成果を得た勢いで出雲は勝てましたが、いい走りにはほど遠かった。鬼塚も關も、まだ少し跳ねる走りをしていたし、トレーニングそのものもそんなに距離を踏めていない状態なので、そういうところに不安があったのかなという感じ」と言うように、両校ともここから仕上げていく段階でもあり、2強優位の状況は簡単には崩れないだろう。

 だが、今回の神奈川大の全日本優勝は、山藤が「健吾さんが箱根2区で区間賞を獲って学生ハーフでも優勝したのを見て、大塚さんや大野日暉(4年)さんが世界クロカンの代表になったように、健吾さんだけではなく俺たちも世界を目指すという気持ちが強くなった」と言うように、選手たちの意識の変化がもたらしたものだ。その点では、来年の箱根は往路の快走だけではなく、「両校の隙あらば......」というところまで力をつけてきたことは間違いない。

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