予選会に破れても笑顔。慶応大が箱根駅伝の出場まで「7分近づいた」 (4ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • 写真●松尾/アフロスポーツ photo by Matsuo/Aflo Sport

 選手勧誘の条件は他の強豪校と比べて厳しいが、今秋には5000m14分20秒クラスの選手が1名、同14分30秒台の選手が4人ほど、AO入試などで受験を予定しているという。新戦力の走力は未知数だが、今後の目標については、「来年の予選会は10番台に入り、そこからステップアップして、強化5年目となる第98回大会での出場を目指しています」と保科コーチは話した。

 慶應大競走部には専任コーチがいなかったこともあり、学生主体の独特な雰囲気が漂っている。そのなかで、100mの山縣亮太や800mの横田真人らがオリンピックに出場。彼らは大学卒業後も、母校のグラウンドでトレーニングを続けてきた。

「トップアスリートが同じグラウンドで練習していて、彼らの活躍も刺激になっています。ただ、長距離のイメージはないので、少しずつアピールしていくしかありません。半年の指導で僕の考え方も変わったんです。初めは僕の経験値だけで教えていた部分があったんですけど、うまくいかなくて。楽しい雰囲気も大切にして、専門的なことよりも『どのような姿勢で取り組むのか』を伝えるようにしています」

 慶應大が最後に箱根駅伝に参戦したのは1994年。30回目の出場はいつになるのか。箱根3連覇中の青学大も本格強化した当初は苦戦したが、本戦出場を果たすと、大学のブランド力もあって好選手が続々と入学して黄金時代を迎えている。慶應ボーイたちが箱根路を走ることになれば、学生長距離界の地図が大きく変わるかもしれない。

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