高機能が売りのランニングシューズは、どのようにつくられているのか (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by Sportiva

 その結果、欧米人と比べて日本人の足は側幅=ボトムが広いことが判明。"幅広"はある程度正しかったことになる。同時に、欧米人は足の人差し指が長く、中央がシュッと尖っているが、日本人は足の指がどれも短く横並びで、爪先はあまり尖っていない。一方で、日本人が特に甲高ということはなく、踵(かかと)の大きさも欧米人と大差ないこともわかった。

爪先部の大きな巻き上げと強力な反発性を持つミッドソール素材が推進力を生む爪先部の大きな巻き上げと強力な反発性を持つミッドソール素材が推進力を生む 走り方については、大きなストライドで跳ねるように走る欧米人に対して、日本人は小股でチョコチョコと走るのが特徴だった。そのため、欧米人は踵から着地するが、日本人は中足(足の真ん中あたり)の外側、もっと極端な場合、前足(足の前のほう)で着地する。

 このような日本人の足型・走り方のデータに合わせて、HANZOは従来品より側幅を広くし、踵を4~5ミリ薄くする設計が行なわれた。日本人の走り方では踵が厚いと着地した際に引っかかり、ブレーキがかかったような状態になる。踵部分を薄くすることで、走るときに踵を地面に着けず、中央から前の部分で着地できるようになる。

 また、日本人の"チョコチョコ走り"で着地した状態からの足抜けのよさを出すために、爪先部分の"巻き上げ"も強くした。従来のレーシングシューズと比べ、巻き上げが大きく、地面を蹴った後、次のフォワード・モーションに進みやすいように設計された。

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