それでもリオへ挑戦するのか。市民ランナー、川内優輝の揺れる心 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 リオ挑戦を断念するとしても、それで川内の世界への挑戦が終わるわけではない。彼は「17年の世界選手権ロンドン大会も狙っていますから」と口にした。

 昨年12月の防府マラソンの翌日に左足首を捻挫したあとは、本格的な練習ができるようになるまで時間がかかり、今大会に向けての準備期間も半年くらいしかなかった。しかし、リオ五輪を経て再来年の世界選手権代表を狙うべく、来年の福岡に照準を合わせるならば、1年間の準備期間があると見据える。

「暑い夏場のマラソンは苦手という意識があるので、狙うならそれほど暑くならない来年のリオ五輪と、再来年の世界選手権ロンドン大会だと考えていたので……。ロンドンでメダルを獲るのが僕の最後の目標なんです」

 福岡では悔しい結果となったが、いまだ闘志を失っていない川内。戦い続けるならば彼は当然、これまでのように市民レースを練習の場として使っていくだろう。だが彼も28歳。これからは疲労も考え、もっと綿密な計画に基づいたレース参戦が必要になる。

 最後の夢の実現は、自分の体の声に耳を傾けながら、いかに走力を磨き上げていくかをしっかり考え、それを実行できるかどうかにかかっている。

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