箱根駅伝予選会、明暗を分けた「10秒」の差はどこにあったのか (2ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 予選会は一斉スタートの20kmレースを行ない、各校上位10人(出場は12人まで)の合計タイムで争われる。ボーダー付近の戦いは例年以上に熾烈だった。15km地点の総合10位は國學院大。そこから4秒遅れで上武大と東京国際大が続いていた。国士館大は総合7位で、通過ラインまで1分21秒の"貯金"があった。

 それが17.5km地点になると國學院大は総合12位と圏外に弾き出され、国士館大も9位に転落する。10位は東京国際大で、11位は上武大。その差は10秒だった。国士館大と上武大との差は52秒で、上武大からすれば残り2.5kmで国士館大の選手よりも、ひとり5秒ちょっと速く走れば逆転できる計算になる。1kmあたり約2秒。両校のペースを考えると、非常に際どい展開だった。

 序盤で抜け出したダニエル・ムイバ・キトニー(日本大)が58分20秒で真っ先にゴールへ駆け込むと、続々と選手たちがフィニッシュ。最初に10人を揃えたのは帝京大で、その後も有力大学は大きく遅れることなくゴールした。日本大が総合10時間06分00秒でトップ通過し、以下、帝京大、日本体育大、順天堂大、神奈川大、拓殖大、法政大、中央大、東京国際大、上武大の順で予選会をクリアした。

 11位国士舘大の総合タイムは10時間12分14秒。前回"過去最速タイム"で落選した東京農業大の記録(10時間14分52秒)を大きく上回った。これには、予選会当日の天候も大きく影響している。スタート時の気温は16度、雨が降り続くレースで、62分を切った選手は過去最多を24人も上回る163人を数えた。

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