【続・東京マラソンへの道】有森裕子さんに「市民ランナーの心得」を聞きました (3ページ目)

  • 中島彩●文 text by Nakajima Aya
  • 阿部卓功●写真 photo by Abe Takanori 久慈真史●ヘアメイク Hair & Make by Kuji Masafumi

有森 ちゃんと水分は摂っていますか? 緊張して水分をあまり摂ってないのかもしれませんね。食べ物の量が多いなら、それに相当するだけの水分も摂る努力をしましょう。

中島 たしかにカーボ・ローディング(※)が市民ランナーの間で流行しているので、食べなきゃって意識が強すぎた結果、水分を摂ってなかったかもしれません。

(※)カーボ・ローディング=運動エネルギーとなるグリコーゲンを通常より多く体内に貯蔵させる栄養摂取法。

有森 一気に摂取しなくていいから、少しずつね。意識して水分を摂るように。

中島 それから私は、スタート時、気分が良くて飛ばしてしまうケースがありました。その後、どうにもならないぐらい疲れてしまって……。オーバーペースです。これってレースとして失敗ですよね?

有森 「飛ばしすぎた!」と思った時点で、たしかに失敗ですね。でも、どうしてもスタートって気負ってしまうことが多い。だから、それをどう抑えるかなんですけど、コツは、前に走っているランナーを自分のストッパーにしてしまうの。ペースメーカー的な役割になってもらうんです。自分のペースより少し遅いと感じるぐらいのランナーがベスト。それでもスタートで飛ばしてしまったら、できるだけゆっくりスピードを落とすようにして。急に落とすと、リズムが乱れて身体に良くないので。それでもまだ苦しいようなら、勇気を出して一度止まってみて。

中島 止まってストレッチとかしたほうがいいのでしょうか?

有森 身体の限界まで達してから止まると、もう次は動けないから、余裕のあるうちに止まったほうがいいですね。そして深呼吸をして、呼吸を落ち着かせること。

中島 あと、私はフルマラソンを走っていると、35キロ付近で心が折れそうになるんです、そんなときの対処法ってありますか?

有森 心が折れそうなのは自分だけじゃない、周りのランナーも一緒だと思ったほうがいいですね。

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