絶対王者として東京へ。佐藤友祈が世界パラ陸上400mで金メダル (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 そこで佐藤は目標を掲げた。「マーティンとの直接対決で実力を証明したい」――。翌年のリオパラリンピックで初顔合わせとなったが、400m、1500mともにマーティンに先着され、佐藤は銀に終わった。

 後半の伸びとラストスパートの切れ味を大きな武器とする佐藤だが、左手のまひもあり、スタートでは出遅れることが多かった。スタートでの漕ぎの技術を磨き、負担を減らすため食事の改善によりウエイトも落とした。

 ようやく目標が達成されたのが、17年のロンドン世界選手権だ。佐藤は両種目でマーティンに競り勝ち、大会新記録で2冠を達成したのだ。「マーティンに勝てて、本当にうれしい」。佐藤は当時、そう感慨深げに語った。

 以来、順調に実力を伸ばしてきた。18年7月には、400mと1500mの世界新記録を樹立し、名実ともに「世界一」となった。さらに今年1月には800mと5000mの世界記録まで塗り替え、T52クラスの中長距離種目では圧倒的な強さを誇る「第一人者」にまで上り詰めた。

「400mと1500mの2種目で世界記録更新と金メダル獲得」は、自身2度目となる東京パラリンピックでの目標だ。この日の金メダルで、400mでの挑戦権は得た。今大会最終日(15日)に控える1500m決勝でも勝ち切り、来年に迫った大舞台での目標実現に弾みをつけるつもりだ。

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