パラバドミントン里見紗李奈が初出場V。
鈴木亜弥子は銀で強さを見せた

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text by Araki Miharu

 2年に一度のパラバドミントンの世界選手権が8月20日から25日まで、スイス・バーゼルで開催された。東京2020パラリンピック出場に必要な獲得ポイントが通常の2倍になる重要な大会だった。日本代表は男女合わせて26名が出場し、女子シングルスで車いすWH1の里見紗李奈(NTT都市開発)が優勝、上肢障がいSU5の鈴木亜弥子(七十七銀行)が準優勝を果たした。このほか日本勢は9種目で銅メダルを獲得した。

シングルスでは危なげない戦いをして優勝した里見紗李奈シングルスでは危なげない戦いをして優勝した里見紗李奈「まさか勝てるとは思っていなかった。うれしいです、本当にうれしいです」(里見)

 世界選手権初出場で頂点に立ち、里見は「信じられない」と目を丸くした。その言葉とは裏腹に、里見の安定したプレーは存在感を放っていた。グループリーグ3戦を全勝で勝ち上がり、決勝トーナメント1回戦で福家育美(ダイハツ工業)との日本人対決を制すると、準々決勝で前回大会銀メダルのジン・ツァン(中国)を、準決勝で世界ランキング2位のカリン ・スーター エラス(スイス)を撃破。

 そして決勝の相手は、元世界ランキング1位のスジラット・ポッカム(タイ)。里見が「憧れの選手」と話す、冷静な試合運びと精度の高いショットが持ち味のベテランだ。里見は国際大会デビュー戦の昨年のタイ国際と、続くアジアパラ競技大会でポッカムと対戦しているが、いずれもストレートで敗れている。それから1年の間に里見が経験を積み、世界ランクはポッカムが4位、里見が5位と肉薄するところまで成長。今回、粘る相手に苦しみながらも、初めて白星を手にすることができた。

 もともと緊張しやすく、これまでプレーでは弱気になったところを突かれることもあった里見。この決勝では第2ゲーム中盤まで1点を争う気の抜けない攻防が続いたが、「逆転されても、自分が攻めずに点を取られたわけではないから大丈夫」と、試合展開を読む冷静さを見せた。

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