水泳は『家族』。東京パラリンピックを目指す女子高生スイマーが急成長 (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 現在、練習は完全オフの日曜日を除き、週6日。メインは400m自由形だが、4種目すべてを伸ばすことが自由形の強化にもなると、苦手種目の練習にも積極的だ。

 小池自身は、急成長した要因のひとつに、筋力アップを挙げる。ここ1年で肩幅など上半身のたくましさが明らかに増した。マシンを使ったトレーニングは週1回だが、プールに入る前のドライトレーニングに加え、学校や練習場への往復など日常生活で車いすを漕ぐことが、「自然と筋トレになっている」とも話す。

 中学時代から指導する、峰村史世コーチ(峰村パラスイムスクワッド)は、「コツコツと努力ができ、練習でも全力を出せること」が小池の強みだと話す。今年は、地道に取り組んできたさまざまなことが実を結んだタイミングだったのだろう。

 憧れの選手から直接、刺激も受けたことも大きかった。9月に横浜で開催された「ジャパンパラ競技大会」出場のため来日した、アメリカのマケンジー・コーン選手だ。小池と同じ障がいクラスでリオパラリンピックでは三冠に輝いた、小池がもっとも尊敬する選手だ。

「400m自由形のレース中は、どんなことを考えているんですか?」

 世界記録保持者に思い切って尋ねてみた。小池自身はペース配分を考えたり、ターンで少しミスするだけでも焦ってしまったり、「いろいろ考えすぎてしまう種目」だが、女王の答えは、「何も考えない。ただ泳ぐだけ」

 レースに臨む意識として貴重なヒントを得た。

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