東京五輪まで2年。ブラインドサッカー日本代表は「強豪国と激戦」 (2ページ目)

  • 井上俊樹●取材・文 text by Inoue Toshiki
  • 高野洋●写真 photo by Takano Hiroshi

 試合開始早々の接触プレーで黒田が耳を負傷。それでも優位に試合を進める日本だったが、ケガの影響から黒田が途中でピッチを退くと、流れは徐々にトルコに。試合途中から雨足が強まってくると、パスワークに乱れが出始める。0−2とリードを許したまま反撃及ばず試合終了。グループAはイングランド、トルコ、日本が1勝1敗で並んだが、総得点の差で日本は24日のフランスとの5位決定戦に進むこととなった。

 トルコ戦で負傷した黒田は左耳鼓膜穿孔(せんこう)で、全治4週間という重傷の診断を受けた。穿孔とは、体の器官の一部に穴が空くこと。聴覚だけの問題ではない。激しい接触プレーで、体を真っ直ぐに保つ三半規管にも支障をきたしていた。

 24日の5位決定戦、フランス戦前のウォーミングアップの際、常にボールをその身から離さずチームを鼓舞し続けた黒田の存在に、日本代表は一層奮い立った。高い位置で絡め取ったボールを保持し、世界ランク14位のフランスにほぼボールを触らせない。前線3人、川村怜(りょう)、佐々木ロベルト泉、加藤健人のドリブルとパスワークで相手を翻弄し、強者の足を止めた。

 前半9分、攻撃に切り替わった瞬間にGK佐藤大介がゴールスローで託したボールを、右サイドで川村が受けた。DFを回転ドリブルでかわし、そのままゴール前に侵入。

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