「君もやってみないか?」の勧誘でパラ・パワーリフティングが強化中 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 馬島もこれまで毎日ジムで練習をしてきたが、エイモス氏のアドバイスを受け、今大会に向けてトレーニングは週3回にとどめていたという。

「練習量が減れば不安になるが、逆に気持ちの部分で鍛えられる。45歳だけど、まだ伸びしろがあると感じるし、あきらめず頑張りたい」と力強く話す。

 もう1点、選手の成長を支えているのが、練習環境の変化だ。昨年夏、京都府城陽市の「サン・アビリティーズ城陽」がパラ・パワーリフティングのナショナルトレーニングセンター(NTC)に指定された。国から年間1000万円の予算がつき、IPC(国際パラリンピック委員会)公認のベンチ台が5台ある。主審と副審の位置を想定し、4方向からフォームを確認できる動作解析の映像機器も導入している。

 堺市からNTCへ練習に通う男子107kg級の中辻克仁(個人)に聞くと、こうした最先端機器の活用とエイモス氏のメニューで、フォームの精度が上がりつつあるという。中辻は昨年のこの大会で192kgの日本記録をマークしたものの、その後は1年伸び悩んでいた。

 だが今大会、第2試技で193kgを挙げて記録を更新すると、第3試技でも197kgに成功。特別試技では惜しくも失敗したものの、日本人初となる200kgに挑戦し、会場を大いに沸かせた。「9月の世界選手権に向けて200kgの感触を掴みたかったので、いい結果になったと思う。一番怖いのはケガ。エイモスコーチの指導を受けてまだ3カ月ですが、少しずつ彼の言う通りの身体になってきた」と、手ごたえを感じている様子だった。

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