リオ代表争いに火花散る、日本パラ陸上選手権の注目選手たち (2ページ目)

  • 星野恭子●文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by Shingo Ito/AFLO SPORT

 昨年は慶応大学を卒業し、社会人1年目となり、練習環境や意識も変化するなか、ドーハ世界選手権に出場。100mでは惜しくも入賞を逃したが、「競技歴実質1年」という走り幅跳びで自己新の5m09をマークして銅メダルに輝いた。リオ代表に選ばれれば、3種目で勝負したいと話す高桑。今大会で自己記録をさらに伸ばし、大舞台への自信を高めておきたいところだろう。

切磋琢磨する、二人のスプリンターに期待

 女子の短距離種目では、T47クラス(上肢機能障害など)も見逃せない。昨年、彗星のように現れた2人の若きスプリンターの競り合いに注目だ。1人は昨春、ハンドボールから陸上に転向し、伸び盛りのスプリント力が魅力の辻沙絵(日本体育大学)。昨年は、200mで日本新記録(27秒48)を樹立し、秋には初出場のドーハ世界選手権で100mに出場すると、6位入賞。準決勝で13秒17の自己新もマークするなど大舞台での度胸のよさも見せた。今年になって先天的に欠損している右前腕部に競技用義手を付けるようになり、スタート時や走行時の安定感が増した。現在は、同大が昨年末、陸上部内に発足させた、「障がい者アスリート部」に所属し、さらなる飛躍を目指している。

 そんな辻の好敵手がこの春、日体大に入学し、後輩となった三須穂乃香だ。辻と同様、先天的に右腕の肘から先がないものの、小学校から陸上を始め、ずっと健常者の大会に出場していた三須。2020年東京大会の決定を機に、「パラリンピックを意識した」といい、パラ陸上の大会にも出場するようになった。高校3年生だった昨年7月の日本選手権で、100mの日本記録(13秒11)を樹立し、「2015毎日スポーツ人賞」の新人賞も受賞した。ドーハ世界選手権では惜しくも決勝進出を逃したが、「筋力アップなど自分の弱いところをもっと強化したい」と前向きに話していた。日体大生となり、辻と直接的に切磋琢磨する環境が整ったなか、どれだけの成長がここから見られるか注目したい。

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