筋肉の「プロ」と「アマ」、その違いとは? 世界3位になった山田朝美は「やめたほうがいい」と言われてもプロを選んだ【2023年人気記事】
2023年の日本はWBC優勝に始まり、バスケのW杯では48年ぶりに自力での五輪出場権を獲得、ラグビーのW杯でも奮闘を見せた。様々な世界大会が行なわれ、スポーツ界は大いなる盛り上がりを見せた。そんななか、スポルティーバではどんな記事が多くの方に読まれたのか。昨年、反響の大きかった人気記事を再公開します(2023年10月5日配信)。
※記事内容は配信日当時のものになります。
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山田朝美 インタビュー前編(全2回)
昨今のフィットネスブームもあり、芸能人を含めたさまざまな人がボディメイクコンテストに出場しているが、じつは国内で開かれるほとんどの大会はアマチュア向け。プロ選手の大会は海外が多い。
ボディビル・フィットネスシーンにおける日本人プロ選手は非常に少ない。プロには「IFBBプロ」と「IFBBエリートプロ」があり(※)、ボディビルダーの山岸秀匡さん、メンズフィジークでは筋肉系YouTuberカネキンこと金子駿さんは前者に当たる。
一方、「IFBBエリートプロ」はまだ歴史が浅くプロ選手数も少ないが、最近では横川尚隆さんらが「IFBBエリートプロ」になり話題を呼んだ(その後資格を失効)。
その「IFBBエリートプロ」資格を日本人女性で初めて獲得したのが、山田朝美さん。現在、静岡県菊川市でスポーツジム「F-Class」を経営しながら自身のトレーニングに日々励んでいる。アマチュアとプロの違いとは何なのか? 山田さんに話を聞いた。
※もともとひとつの団体だったIFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)が分かれ、「IFBBプロ」と「IFBBエリートプロ」のふたつになっている
2019年にカナダで開催されたプロコンテストで3位になった山田朝美さん 写真/本人提供この記事に関連する写真を見る
【プロとアマの違いとは】
ーー「プロ」にはどうやったらなれるのでしょうか?
山田朝美(以下同) 「IFBBエリートプロ」の場合、傘下団体であるJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)が主催する国内コンテストで上位となれば、国際大会に出場することができます。そしてその大会でも好成績を残せば、プロカードを獲得でき、その後、許可申請などを行なってプロ資格を得られます。
私は、2017年に国内大会の「オールジャパン ミスボディフィットネス選手権」(158センチ以下級)で準優勝し、翌年春にモンゴルで開かれたアジア大会(「アジア ボディビル&フィットネス選手権大会」)のオーバーオール(無差別級)で3位になったことで、プロカードを獲得できました。
ーープロになることで実際にどのようなメリットが?
自分の認識として、プロとアマのもっとも明確な差は賞金の有無だと思います。アマチュアの多く大会では、協賛企業からサプリメントなどの賞品が譲与されるのに対して、プロのコンテストでは賞金が出ます。その額は必ずしも大きいとは限りませんが、そこが違いです。
一方で、国内で開催される大会の多くはアマチュア向けコンテストなので、プロになると出られる国内大会がほとんどなくなってしまうというデメリットもあります。
自身が経営するジムでインタビューに応じる山田さんこの記事に関連する写真を見る
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著者プロフィール
武松佑季 (たけまつ・ゆうき)
雑誌ライター。1985年、神奈川県秦野市生まれ。編集プロダクションを経てフリーランスに。インタビュー記事を中心に各メディアに寄稿。東京ヤクルトファン。サウナー見習い。