児玉碧衣が「彼女は終わった」というSNSを見返す優勝 1位だったファン投票に結果で応え「恩返しができた」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 まだ蒸し暑さの残る20時20分にスタートしたレースは、残り2周に入った時点で、佐藤は5番手、児玉は6番手と後方に待機。その3コーナーで児玉が動くと同時に佐藤も反応して順位を上げ、先頭が佐藤、続いて児玉の順に最終周回へ入る。児玉は勢いそのままに佐藤を抜き去って先頭に立つが、佐藤、そして柳原も離れずに外から追い、さらに外から太田もポジションを上げてきた。最後、直線で太田が追い詰めるも、僅かの差で児玉が先着した。2着は太田、佐藤は3着に終わった。

「最後、後ろに誰がいるかは全然わからなかったです。死ぬ気で踏んでいました」

 児玉の言葉が激闘を物語る。しかし圧巻の逃げ切り劇は、改めてその強さを見せつけた形だ。

ゴールラインになだれ込む選手たち 児玉碧衣(1番車、白)が1着となったゴールラインになだれ込む選手たち 児玉碧衣(1番車、白)が1着となったこの記事に関連する写真を見る

【勝因は行くべきところで行けたこと】

 今回のレースの勝因を「自分の行くべきところで、行けたこと」と児玉は振り返った。

「これまでサトミナ(佐藤水菜)に勝てなかったのは、サトミナを意識しすぎて、自分のレースができていなかったから。なので、今日は行くべきところで行かなきゃと考えていました。自分から動いた時にサトミナがそれに合わせる形になり、一度、(佐藤の)スピードの音がすごすぎて、後ろで構えましたが、休まずホームストレートで仕掛けたのがよかったと思います」

 これまでの自分であれば佐藤を意識し、ホームストレートで仕掛けることなく休んでいたはずと児玉は言う。だが3月のガールズケイリンコレクションで、佐藤と対決した際に「もてあそばれた」シーンがよみがえり、「自分で行かなきゃ」と脚を動かしたことが奏功した。

 また例年であれば、ガールズケイリン最高峰の舞台、12月の「ガールズグランプリ2023」への出場権を獲得するために、賞金を積み重ねる時期なのだが、パールカップで優勝したことで、グランプリへの出場権をすでに手にしていたことも大きかった。「前日から緊張せず、リラックスして臨めたのもよかった」とメンタル面の充実もためらいなく攻めきれた要因の一つに挙げた。

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