2020.08.19

「もう終わりかな」と思ったフジカキペアが銀メダルを獲得できた理由

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 藤井と垣岩は第1セット、準々決勝で勝った験(げん)を担いであえて苦手な追い風のコートを選んだが、緊張もあってか10対21であっさりと取られた。垣岩は「1セット目は先輩に『楽しんで。笑ってよ』と何度も言われたけれど、緊張したままで......。まずは相手のコートに入れることを考えましたが、それもできないまま終わっちゃいました。それでも2セット目はレシーブから攻撃にいけるようになったので、自然と笑顔が出てきました」と述べる。

 その第2セットは、先手を取られたものの、中盤には5連続ポイントで逆転。その後、リードを維持しながら大接戦を演じ、最後は観客の声援を引き寄せる粘りの戦いを繰り広げた。結局、23対25でセットを奪われ、ストレート負けとなったが、2人にとって戦い切ったと言える試合だった。

「日本で初めてのメダルという前に、私たちが決勝まで進めたことに最後まで実感が湧きませんでした。でも、表彰式でメダルをかけてもらった時に、その重さにビックリして『やっぱり本当なんだ』と感じられました。今回はいろいろ問題もあってラッキーだったというか......。私たちだからできたというよりは、応援してくれたたくさんの人たちのおかげですし、いろんなことが重なって結果だと思います」

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 藤井はこう話すが、このメダルは決勝トーナメントの3試合で、力を振り絞って戦った結果でもある。

 藤井は、中学入学後に結果を出し始め、「中学生離れしたプレーをする」と対戦相手を驚かせた。自分をクレバーに分析しながらも、挑戦を楽しむ意識の高い選手だった。出身の熊本から強豪校の青森山田高に進むと、1年生からレギュラーになり、3年のインターハイでは25年ぶりのシングルスとダブルス、団体の3冠獲得を果たした。