大関・朝乃山に「強い!」と唸った錣山親方。躍進中の大器に番狂わせも期待 (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 もうひとり、序二段まで落ちながら、奇跡の復活を遂げて再入幕を果たした元大関・照ノ富士にも注目しています。ヒザの大ケガと付き合いながらも、どっしりと相撲を取っています。よくがんばっているな、と思います。

 ところで、春場所後の4カ月の間に、豊ノ島、蒼国来、栃煌山といった個性派力士が引退しました。そして、私の部屋からも元幕内・青狼が7月13日付けで引退しました。

 青狼は、私がモンゴルにスカウトに出向いて、2005年に錣山部屋に入門。8年かけて十両に上がった苦労人です。稽古場では、準備運動や稽古をいつも黙々とこなしていました。私から、彼に教えることはあっても、叱ることは一切ありませんでした。長い間、部屋の若い力士たちのいい手本になってくれていたと思います。

 昨秋、髄膜炎という大病を患ったこともあって、このたび引退を決めました。今後はモンゴルに帰って、不動産業に就く予定だそうです。

 がんばった弟子の未来に幸あれ――そう祈っています。

photo by Kai Keijirophoto by Kai Keijiro錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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