アジア大会で男女がメダル獲得。日本フェンシング界の伸びしろに期待 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 奥井隆史●写真 photo by Okui Takashi

 それでもエペのアジアのレベルは高く、今大会準決勝に勝ち上がったのはすべて格上の選手たちだった。準決勝の加納の対戦相手は世界ランキング3位で、16年リオ五輪で金メダリストのパク・サンヨン(韓国)だった。隙を全く見せない相手に第1ラウンドは2-6とリードされたが、第2ラウンドはじっくり我慢をしてチャンスをうかがい、2点差にまで縮めた。そして第3ラウンドの前半で9-9と同点に追いついた。

「初めての対戦だったので、最初は戦法も定まっていませんでした。五輪チャンピオンだから我慢して、中盤からは時間を使って1点1点を取るようにしたので、何とか追いつけたという感じです。一瞬でも気持ちが緩むと相手はスピードもあるのでその瞬間を突いてくる。そういう実力の高さでやられた感じですが、絶対に勝てない試合ではなかったのでやっぱり悔しかったです」

 こう試合を振り返る加納は10-11まで粘ったものの、残り時間が1分あたりからは攻め急いだ部分を突かれて連続失点し、マッチポイントを握られる。そして、得点がビデオ判定で取り消される不運もあり、11-15で敗退となった。それでも銅メダルは確定させた。

「シニアでは一度も準決勝で勝ったことがないから、そこは今大きな壁になっているなと思います。パク選手も22歳と若くてこれからまだまだ伸びてくると思うので、追いつけるくらい自分ももっと強くなっていかなければいけないと思います」

 小学6年の夏までは器械体操を8年間やっていたという加納だが、全国大会の予選の前にケガをしてやめたという。そんな時期に北京五輪で活躍する太田雄貴を見て、フェンシングの存在を知り競技を始めた。

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