日本バドミントン界の競争が激化。もはやタカマツペアだけではない (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

 朴ヘッドコーチ就任後の流れを見れば、07年世界選手権で坂本修一・池田信太郎組と小椋久美子・潮田玲子組が、ともに銅メダルを獲得して以降、11年には銅1、14年は銅2、15年は銅3という実績を残してきた。

「僕たちが第一期だったけど、今は本当に"朴イズム"みたいなものがすごく根づいてきていると思いますね。朴さん自身はすごく謙虚で、一つひとつのことをすごく大切にする。すごい負けず嫌いだし、準備を怠らない性格なので、そういうのが選手一人ひとりに伝わっていると思います。そういう選手に対するマネージメント能力は高いと思いますね」

 一方で、池田氏は「朴ヘッドコーチが特別なマジックを使っているわけではない」とも語る。

「うまくなるための技術指導というのは特にないと思います。ただ、ハードワークだったり、精神的な強さだったり、練習量だったり......、最後まで勝ち抜くメンタリティの強さを求める。そういう指導ができる人は(選手から)信頼されていなければいけないので、そこが違うと思います。

 技術面に関しては各種目の担当コーチがまかなっているし、選手たちも世界のトップ選手と戦うことで技術は上がってくる。つらいメニューを普通のコーチが言うと、『エッ、このメニュー?』となるけど、朴さんが『あと1本』と言うと選手は何も言わないでやります。やっぱりそれがカリスマ性というか、信頼されている証だと思いますね」

 加えて今の世界は中国も含め、どの国も世代交代の過渡期になっていると池田氏は分析する。

「男子シングルスも本当なら、かつてのリー・チョンウェイ(マレーシア)のようなハイレベルの選手が4~5人くらいいてもおかしくない。ただ、今回の銀メダルと獲った中国の石も桃田のディフェンスを崩せなかったり、レベル的には五輪連覇をした林丹(中国)などのような安定感やスーパー感はまだないですね。これからも日本にはチャンスがあると思います」

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