なぜ勝てないのか。高梨沙羅が自身のジャンプを分析してわかったこと (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Tomura Atsushi/Getty Images

 踏み切りの動きの修正に手応えを感じながらも「1位になった前日の予選と比べると、前半でスキーが跳ね上がり過ぎてしまう感覚がある。まだジャンプ台に力を伝え切れていない感覚もあるし、距離が足りないかなという感覚もある」と話していた。

 その原因を試合後にコーチと話し合い、「上半身が若干跳ね上がってしまっているから、もう少しそこをスムーズにテイクオフまでつなげられればいいね」という話になった。そして2日目は、それを強く意識して取り組んだという。

 そんな高梨は、14日の予選を兼ねた試技では、少し踏み切りのタイミングが遅れたこともあって、88.5mにとどまった。
 
 試合では、1本目は追い風の条件で90mの3位だったが、踏み切りからの動きはしっかり改善されてスムーズになっていた。そして2本目も同じ動きを再現し、93mと飛距離を伸ばした。1本目1位のルンビは98.5mを飛んで圧勝したが、2位だったアルトハウスは89m。これで高梨の今季最高となる2位が決まった。

 3連勝で今季の勝利数を4に伸ばしたルンビについて高梨は、「もともと脚の強さはある選手ですが、それに加えてテクニックがすごく安定していい位置で踏み切れているので、アプローチからテイクオフまでのジャンプ台に伝えるインパクトの厚さというのがどんどん増していて、後半につながる男子的なジャンプに近くなっている」と評価する。

 だが、自分の技術が前進している手応えも感じている。

「テイクオフから空中姿勢へ移行する時間は、かなり早くなってきていると思いますが、飛び出した瞬間の両方のスキーの幅がまだ若干開き気味なので、そこが今日の課題。もう少しストレートに持っていければ、もう少し空中でのスピードも保てるだろうし、後半にもつながってくると思います。

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