「カーリングの変態」本橋麻里の献身でつかんだLS北見の五輪キップ (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 当然、中部電力もLS北見も、公式練習では全員で石を投げて状態をチェックする。しかし本橋は、試合後も毎日アイスに残り、ナイトプラクティスと呼ばれる二重のチェックを行なった。

 対する中部電力は、公式練習と初日のゲーム後に全員でチェックはしたものの、以後は休息を優先させてナイトプラクティスには参加しなかった。もちろん、その選択はチームの方針であり、チェックの有無と結果を直結させることは短絡的だ。

 それでも、「麻里ちゃんのチェックを100%信頼している」という吉田夕は、本橋から日々アップデートされてくるストーンのデータを元に、対策を練ることができたという。そして、五輪出場を決めた第4戦では、石のクセをものともせずに難易度の高いウィックショットを連発し、中部電力の反撃の糸口を潰した。本橋のストーンチェックが迷いを消し、メンタル面の大きなサポートになったことは間違いない。

 吉田夕と同様に、荒れ石処理班を担った鈴木は、五輪代表決定会見で「(チームに入った当初は)クソガキで迷惑かけたけど、やっと大人になれました」と、本橋への感謝を口にした。

 五輪出場が決定してすぐ、ふたりが本橋のところに駆け寄ったのは、そのあたりに理由があるのだろう。カーリングを取材していると「ストーンを4人で運ぶ」といった言葉がよく聞こえてくるが、LS北見に限っては間違いなく5人でショットを決めていた。このスタイルが成熟していけば、五輪での躍進も十分に期待できる。

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