ツール・ド・フランス開幕。不安の残る王者フルームを襲う3人の刺客 (2ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by AFLO

 最難関の山岳コースは、ナンテュア~シャンベリー間を走る第9ステージ。さらに、ピレネーで行なわれる第13ステージは「距離101kmと短いので、有力選手のアタックが連発し、意外な展開になる可能性もある」と有力選手がこぞって警戒する。

 今大会、3年連続4度目の優勝を狙うのがイギリスのクリストファー・フルーム(チーム・スカイ)だが、王者のポジションを守るのはたやすいものではない。得意とする個人タイムトライアルの合計距離は、2016年の54kmから36.5kmへと減少した。3連覇に挑んだ6月上旬のクリテリウム・デュ・ドーフィネでは調子が上がらず4位。マイヨ・ジョーヌに黄信号が灯(とも)るものの、「最終調整は順調だ」と本人はアピールしている。

「マイヨ・ジョーヌを獲得するための道のりは毎年、異なるからね。4度目の総合優勝を目指すモチベーションはとても高いよ。今やるべきことは、チーム全員が万全の準備をすることのみ。だから、開幕が待ち遠しい。他のステージレースにはないワクワク感がある」

 フルームを援護する8人のアシスト陣は鉄壁だ。平坦コースで先頭に立ってペースメークする係、山岳でフルームを牽引する役などをうまく揃えた。5月のジロ・デ・イタリアでエースに起用されながらケガでリタイアしたゲラント・トーマス(イギリス)も復調し、フルームの希望で急きょメンバーに加わった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る